プロトⅢメイキングブログ⑤
商売として
針先の問題を書くのは「得」か「損」か考えると短期的にはやっぱり損です。
文章がヘタクソなので「単語」に注目が集まり、文脈が伝わらない事も良くあります。
何も伝えずにコッソリそこそこの針を売るのが一番「楽」ですが、「何のために独立したんだろう」「釣人に何を伝えたかったのか?」「釣人にとって何が楽しいのだろう」と考えだすと回り道を選択してでも現実を知ってもらう事を選択する藤岡です。これは性格とか性分でなんともなりません~。
まえおきが長くなりましたが「針先が溶けて無くなる問題」
キス釣りや鮎釣りのように針先が摩耗したり、曲がったり、欠けたりするリスクは石鯛釣りにもありますよというのが伝えたい1つ目の事でした。底物ですからね。
釣人の受入れが完了している釣り
キスや鮎は競技に出る方からサンデーアングラーまで針を交換する事が重要だという認識がかなり定着しています。釣果に差がつく事がそれを浸透させた理由の1つです。
石鯛師の意識はどのくらいか?まだまだ始めたばっかりで僕には分かりません。
本題に戻ります。
【原因を追究せよ】
②釣針屋(製造工程)に目を向けると
鮎、キス釣りをされる方は針を観察してみてください。平打加工がしていない針が多い事に気が付くと思います。反対に石鯛の針は平打加工がしてありますよね。
繰返しになりますが鮎、キスは針先が大きく釣果を分けます。ある意味、針先を最優先に考えて作ってある針です。これを覚えておいてください。
先を尖らす加工工程は「尖頭(せんとう)」といいます
この加工をする時点では焼入されておらす針先は弱く簡単に曲がります。
焼入していない材料は一般に生材とよばれ、⑤平打ち工程が終了するまでは針先が曲がりやすい生材のまま加工が進みます(すべて冷間加工です)。
①定寸切断(生材)
②尖頭(生材)
③中断(生材)
④成形(生材)
⑤平打(生材)
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⑥焼入・洗浄・焼き戻し(この段階でようやく針先の強さが確保されます)
⑦化学研磨
⑧メッキ・塗装・包装
もうおわかりかと思いますが尖頭後も曲がりやすい「尖った生材」を扱う事になり、全ての工程がピンピンに尖った針先とって「リスク」になります。
ここで鮎とキスの針を考えると「平打していない針が多い」!
これは平打工程で針先が傷みやすい事の裏がえしなんです。さらに言えばへら、渓流、エリアトラウト競技などの針もそうですよね。
平打工程を詳しく説明すると長くなるのでやめておきますが
超鋭角ピンピンに尖った針先は生材の段階で行う平打工程に対して十分に絶えず微細に傷んでしまうという問題があるのです。
加工工程は
焼入→洗浄→焼き戻し→化学研磨と進みます。
最終の化学研磨ですが文字通り化学の力で針の鏡面を削り研磨するわけですが針先の微細な曲がりやバリは残ってしまう事があるのです。
最後に針先を手で砥ぎ、立てる事が出来れば何の問題もないのですが、皆さんもご経験があるように先にシワリがある針は砥ぐのが難しい!
この微細な曲がりや残ったバリは「偽物の針先」です。肉眼で簡単には発見できません。特に老眼が始まるわれわれ40代は見えません!
この「偽物の針先」は海中では当然弱く、わずかな接触で欠けてしまう事がほとんどです。
この事が「針先が溶けて無くなる」現象の原因の1つでは?と考えております。
【まとめます】
「鈍角推進派と書いたその理由②」は
石鯛針のように太く重たい針をピンピンの超鋭角に仕上げるには工程中に多くのリスクがある事を知っているからです。(知ってて当たり前ですが・・・)
知っていながら
「そんなもん客はわかってへんやろ~」
「釣人がピンピン欲しい言うねんから作ったら売れるねん!」
とはならない性格と性分です。
作り手側からするとあまり公表したくない話ではあります。
でもよくよく考えれば、
鮎、渓流、エリアトラウト、キス、へらなど平打加工していない針自体が物語っている事なのでので知っている人は知っている事実なんです。
石鯛の名人と呼ばれる人は針を買ってもすぐ巻かず選別する人もいます。爪に引っ掛けてチェックし、時に砥ぎなおし、交換します。
もちろん作り手も
製造の欠点を補うための努力も続けております。
掛かりのイメージは人それぞれです。針先が鋭い針を否定しているのではありません。僕が伝えたい事は良い所、悪い所を知って
「自分の意志で自分が遊ぶアイテムを選んでほしい」
という事なんです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
追伸
全国の名手や釣具関係者の方がこのニッチな市場へ挑戦する僕を応援してくださり、「ボンボン」「鈍角推進派」などのネガティブなワードを出すと「アカンで~」「そんなん書いたら売れへんで~」と助言いただきます。本当にありがたく思いますしその通りだと思います。
これで「ボンボン」とか「鈍角推進派」とか書くのはこれで最後にします・・・・・・・・・・・・・・・ホンマか?